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五〇〇〇年の叡智タルムードに学ぶ

ユダヤ五〇〇〇年の知恵 (講談社プラスアルファ文庫)

ユダヤ五〇〇〇年の知恵 (講談社プラスアルファ文庫)

 

 こんな本を先日読みました。
ユダヤ教聖典「タルムード」について書かれた本です。

そこに、こんな話が出ていました。

あるユダヤ人の経営者は、従業員の首を切りたい。切るしかないと思っている。
しかし、本音を言うと、首を切りたくなんてない。

自分自身に対して何か彼の首を切らないで済むような良いわけがないか(後略)

と、ユダヤ教の指導者ラビに相談にやってきた。
そのラビは、タルムードからたとえ話を取り出すと、

どんなに小さなよい行いでも、それがどんなに大きく役に立つかもしれないと想像することは、人間にはなかなかできないことである。

と言って、経営者が従業員に対してもう一度機会を与えられないかと請うた。

タルムードは、かくも同胞に優しく、神への信仰に厳しく、また、罪に対しても厳しい。そんな印象を受けました。

そして、それ以上に、ユダヤ人社会の考え方にひどく感銘を受けました。

会社をクビになる。なんてことは、日本では中々ない(と思う)
けれど、ユダヤの社会ではさらに稀だそうです。
その同胞への同情心の強さゆえでもあるし、クビになった人をユダヤ人社会全体で支えるという考え方があるのも大きな要因のもよう。

なんたって、首を切るしかないと思っているのに、切りたくないから切らずに済む言い訳を尋ねるぐらいです。

日本の経営者もこれを見習え、とまでは言う気はないのですが──

せめて、首を切りたい。でも、首を切ると体面が悪いから自分から辞めたくなるように仕向けよう。
みたいな明らかなブラックな状態はなんとかなくなってもらいたいものです。

 最近、身近でそんなブラックな話を聞いたので、余計にユダヤ人の考え方が輝いて見えたのかもしれません。

日本人も潔さとか誠実さとか世界に誇る性質があるはずなのだけれど。
悲しきかな、目立つのは悪行で、善行は目立ちにくいものですね。
失われかけているように思える日本人の美徳
それを思い起こすのにも、タルムードとユダヤの思想は最適なのかもしれません。